東京のラーメン屋探訪記2005年

2005/1/4
飯田橋・びぜん亭(東京大神宮に初詣をした際に)
支那そば 500円
海苔小片一。めんま。小口葱。小松菜少し。
焼き豚少し、味が濃くて旨い。
細ストレート麺、多少縮れ気味、いくらか茹で過ぎ。
鶏がらと節。
伝統的な東京醤油、並。

2005/1/7
亀戸・天神家
醤油・並 600円(味:少しこいめ。スープ:こってり。麺:かため)
大きいパリッとした海苔三枚。小口葱。ワカメ。
かなり縮れた中太麺、自家製らしい。もちもちしていておいしい。スープもよくからんでいる。
厚めのチャーシュー一枚、硬め、噛み応えあり。これもいける。
半熟卵半分、軟らかくてこれもよし。
よく茹だった小松菜、この茹で具合も正しい。
鶏油が浮いている。油濃くておいしい。
鶏の香りがする、鶏油だろうか、スープだろうか。
スープは「こってり」を頼んだが、それでもあっさり。
スープを飲むと少し塩辛いので、味は「うすめ」がよかったかも。
最後のスープを飲むと、豚骨よりも醤油と節を感じた。鋤焼きの汁のように肉の細かい粒も。
店内にはこの店のではなく、店主が修行をした本牧家の雑誌記事ばかりが飾ってあって奇妙な感じだが、この店も雑誌に掲載される値打ちがある。

2005/1/9
平井・やなか草
支那そば 600円
煮玉子 100円 半熟、茹で加減良し。
骨付き焼豚 350円 甘過ぎず良し。骨まで軟らかく、食べてしまった。
海苔一枚。かいわれ。背脂。刻み葱が少量。
自家製メンマ、甘くなく、香りあり。味深し。
自家製チャーシュー、煮豚でなくチャーシューなので硬め、美味い。
極細ちぢれ麺、軟らか目。もう少し腰があっても。
極めて穏便な醤油味スープ。良くある味。
凡庸なラーメン。

2005/1/14
元楽亀戸店
元(醤油味)650円
半玉子、普通の硬さ。
メンマ、背脂。
煮豚、軟らかいが味が濃すぎる。
濃い醤油の色、味。甘みのある味。
煮豚の味が濃過ぎるのも、タレのせいではないか。
小口葱、後から入れるので生で辛い。
麺は太く、チャンポン麺のよう、加水率は低い、悪くない。

楽は塩味650円。
具は醤油味に乗っているものの他に、海苔一枚。醤油の方にだけ乗っているのが普通な気がするが。
醤油味の元のように甘くなく、こちらの方が良い。
スープの味は悪くないが、もの足りない。
メンマもなぜ入っているのか良く分からない。
一つ一つを自分の頭で考えず、惰性で作っているだけなのでは。

2005/1/23
調布・たけちゃんにぼしらあ麺
ラーメン740円
味付玉子110円。味がよく染みた半熟玉子。
のり一枚、なると。
メンマ、硬くて味が薄い。
チャーシュー、極厚だが軟らかく、味が濃い。
小口葱、しゃきしゃきしている。
中細ストレート麺(深沢製麺所)、硬くてもちっとしている。加水率低め。
オランダCameliaのラードを使っている???
濃い目の醤油味のスープ。
平成の東京醤油。質は高いが、インパクトは感じない。

2005/1/27
ラーメン二郎 亀戸店
一時半頃行ったが、店内に8人位並んでいて、私を最後に麺玉が仕舞いになった。
ラーメン550円
味玉100円、半熟で美味しい。
野菜(茹でキャベツ、茹でモヤシ)ニンニク増し(無料)。
豚二枚、周りの紅い本物のチャーシューだが、味付けは薄く、豚と呼んだ方が確かに実感がこもる。繊維質が強い。
自家製極太平打ち麺、手打ちのような不均質さが良く、うまい。
ニンニクがこんなに味の向上に貢献しているラーメンを食べるのは初めて。
背脂がたっぷり入っているのだが、あまり意識しなかった。
二郎は以前、虎ノ門店で食べた時に甘くて閉口したが、ここは醤油を活かした味の方向性は同じでも甘過ぎず、さっぱり味の野菜と素朴な味の麺が、東京醤油とは違った濃い醤油味とニンニクに合致して、量が多いのにこれほどウマイ、ウマイとひたすら食べてしまうラーメンには久しぶりに出会った。
一般的にラーメンと称される麺類から独立した、一つの範疇を確立した食品となっており、ジロリアンと呼ばれる二郎の本支店ばかりを食べ歩く人の存在は納得しうる。
量的にも味覚的にもすっかり満足で、幸せな昼食であった。

2005/1/30
大島・らーめん兼吉
しゅうゆ 600円
しろ 600円(白醤油に塩とかつお節を煮詰めたタレ)
半熟味玉 100円。琥珀色の黄身。
ワンタン 100円も肉の香りが良くしておいしい。
(無化調、豚、鶏ガラ、各種野菜に魚貝系スープをブレンド)
小口葱。
小松菜、野菜本来の香りが強い。
メンマ、鰹節と胡麻で味を付けてある。軟らかく煮てあるが繊維は強い。
煮豚も軟らかいが繊維は強い。
海苔一枚も質が高い。
中細ストレート麺、ソーメンのようなつるっとした食感。多少茹で過ぎ。太麺にした方がよかったかも。
スープは出色の出来。動物系と節系のバランスが良い。油濃くなくすっきり。

2005/2/3
両国・らーめん まる玉
生からし入り 650円
あおさ 200円
味玉子 100円。半熟。白身も軟らかい。
青葱の小口。
茹で豚。とろける軟らかさ。味もいい。
細縮れ麺、固茹で、加水率低い、噛み応えあり、旨い。大黒屋製麺。
鶏オンリーのスープは本物の旨さ。
博多の水炊きのように白濁している。
築地の料亭治作の水炊きの方がこってりしている。
あっさりだがこくがある。
生からしは辛い。有料で追加するほどのものでもない。
赤葱とニンニクの揚げチップが置いてあるが、このスープには合わない。
鶏がらだけの白濁スープというのは珍しく価値がある。上質の一品。

2005/2/9
新小岩・らーめん匠屋
こだわり醤油 600円
メンマ。小口葱。
茹でもやしは入れる前に暖め直していた。
茹で豚二枚、ちょっと固めで、悪くない味。
半玉。面白くない味。。
背脂は何のために入っているのか。
ラーメンにワカメを入れるというのは常に危険な賭けである。
太さまちまちの細縮れ麺、潅水の色が強い。
濃い醤油色。
「こだわり醤油」と駅前中華料理屋のありきたりの醤油ラーメンとのあいのこ。
化調の後味が強く、長く口に残る。

2005/2/11
飯田橋・中華そば青葉・飯田橋店
中華そば 650円
特製中華そば 850円
(特製はチャーシューが三枚、半熟半玉が二つ付く。玉子は白身まで柔らか。)
小口葱。
海苔一枚は厚みがあり、香り高い。
太いメンマはコクのある深い味。
ナルト一枚は、中華そばとしてのアイデンティティを主張するために入っているかのよう。
チャーシュー一枚。黒胡椒が掛かっている。赤身なのだがとろとろで簡単に崩れる。
中太ストレート麺は軟らか過ぎ、いま一つ。
醤油は極く薄い色で、黄土色。
脂の膜が薄く張っている。
節の香りがよくする、複雑で深みのある味。
この手の味のラーメンが多くなっている今、あらためて強いインパクトを受けることはなかった。
チャーシューの黒胡椒が最後に残されたスープの後味に効いてくるのが一つの特長になっている。
余韻の長いスープ。一つの名高いラーメンを味わったという感動がある。

2005/2/26
錦糸町・山東省
じゃーじゃー麺 750円
中華料理系、街のラーメン屋さん。
竹の子の入った挽き肉あんかけ。
ジャンル標準の味。
まずまず。

2005/3/3
新小岩・喜多方ラーメン会津
磐梯三年味噌 700円
半玉、なめこ、メンマ、小口葱、水菜。
茹でキャベツ、茹でモヤシ。
チャーシュー三枚。
中太縮れ麺。
醤油ラーメンの店の中途半端な味噌を頼んでしまった。
麺の茹で具合などからして、醤油にもあまり期待は出来ないが。
品のない飲み屋になってしまっている。

2005/3/21
ハッスルラーメンホンマ亀戸店
ハッスルラーメン 550円
(豚骨、豚足、背脂、鶏ガラなど12種類の素材をじっくり10時間以上煮込んだスープを使用している。)
海苔二枚、小口葱、茹でモヤシ、メンマ、煮豚二枚。
背脂。
中太ストレート麺、固さは普通で頼んだが固め。食い応えがある。しかし芯は弱い。
とんこく正油とあるが、醤油の色は薄い。
たまたま蔵前橋通りの同じ並びにある二郎と同じ系統のラーメンであり、「なりたけ」により近い。なりたけを弱くしたような味。
これはこれで良し。
ニンニクと豆板醤を多めに入れて食べた。
半熟玉子(100円)は合わない。
餃子250円もあっさりしていてお値打ち。

2005/3/27
銀座・Pour Cafe
山形ラーメン 790円
(ホタテ・あたりめ・日高昆布・しいたけ・煮干・かつお節のダシにオリーブ油で作った香味油をきかせたここだけのラーメンです)
メンマ、半玉子、小口葱。
チャーシュー、固め、味がよく染みて美味しい。チャーシューは温かい麺の方が美味しい。
中細縮れ麺。透明感がある。歯応えのある麺。美味い。
解説された通りのスープ。
基本的に魚介系の醤油ラーメン。

山形水ラーメン 790円
メンマ、半玉子、小口葱。
チャーシュー一枚。
中細縮れ麺。冷たい方が麺が締まっている。
スープを凍らせて、氷代わりにスープを冷やしている。
冷たい方のスープは漬け汁のようで、飲む気にならなかった。

2005/3/31
千駄ヶ谷・ホープ軒
外苑西通りにはなぜか屋台のラーメン屋が幾つか並んでいる。
昭和を感じさせる古い店内。一階は立ち食い。私は二階で座って食べたが。
店内すえた臭い。ラーメンからも同じ臭いがしてワイルド。
お茶はジャスミン。
テーブル上のステンレスざるに葱が盛ってあって入れ放題(葱は当初は全く入っていない)。
他にニンニクと豆板醤も。
茹でモヤシ。
茹で豚一枚。
メンマ、薄味だが、味はしっかり付いている。
太ストレート麺。味はよく染みている。柔らかいがコシがある。量は多めか。
大量の背脂、あまりよく溶けていない。
スープはしっかり取られている。塩気が強めだが、旨い。
二郎やなりたけやハッスルを導く一つのプロトタイプを見た。
いわゆる東京醤油が中心だった東京において、これは大きなインパクトを与えたであろう。
東京ラーメンの歴史を変えた店と言えるであろう。
ネット上での評判は必ずしも良くないが、今でも食うに値する店。

2005/4/1
新宿・桂花末広店
桂花ラーメン 650円
メンマ。青葱小口。
茎ワカメ、塩気あり、何で茎ワカメという気はするが、こういうラーメンがあってもいい。
チャーシュー二枚、今ひとつ。
中細ストレート麺。固め。加水率は低くない。ちょっともちっとしている。しかし今ひとつ美味しくない。茹で過ぎか。これは致命的。
乳白色のスープ。マー油と混じってだんだん色が濃くなる。スープは決して悪くない。
何故かキャベツと人参の漬物がテーブルにある。妙に薬臭くおいしくない。
個性的なラーメン店ではあるが、歴史的存在という以上の価値は小さい。

2005/4/20
西日暮里・中華そば神名備
近くに「えぞ菊」の動坂店がある。
神名備そばは既に売り切れていた。平日(水・木・金)は30食、土日は昼夜それぞれ40食。
醤油ラーメン 680円(外税。内税にして欲しい。)
大量の細青葱。あさつき?
ストレートの中太麺(卵麺)。スープがよく染みている。コシと小麦の旨みがある。
茹でモヤシというより生に近い。しゃきしゃきとしていて良い。
揚げ葱チップも微妙に効いている。
煮豚。煮崩れた煮豚が多めに。漢方薬の香りが微かにして良し。
背脂が少し。
醤油味、鋤焼き系のスープも良い。二郎虎ノ門店に近いものがある。
非常に完成度、満足度の高いラーメン。
やはり神名備そばも試してみたい。
正式杏仁豆腐 380円
種の中身(仁)の香りがする。

2005/8/21
亀戸・ラーメン花月
ニンニクげんこつラーメン塩
味の素ラーメン。
チャーシューが生臭い。

2005/9/5
尾道ラーメン麺一筋・水道橋西口店
ラーメン700円。
大盛りが無料でサービスなのだが、断ってしまった。自家製麺だからこそ出来るサービス。
さらに小盛りライスをサービス。
浅葱小口、細切りメンマ、チャーシュー三枚程。
背脂が何故か醤油色。
中太縮れ麺。
魚の香りがする熱々のスープだが、醤油味の酸っぱさがあるばかりで、味は薄っぺらい。
最後まで飲もうとは思わなかった。
本場の尾道ラーメンは、瀬戸内だからといって別に小魚を使う訳ではない。
そもそも発想が安易なのだ。
食文化としてのラーメンは観光地名物でも、土産饅頭でもないのだから。
東京に本当の尾道ラーメンを食べさせてくれるところはないのだろうか。

2005/11/7
赤坂・博多らあめん 福のれん
らあめん 600円
ミニ玉70円
メンマ、小口青葱。
チャーシュー一枚、固め。
極細ストレート麺、固め。
白濁というより薄いキャラメル色。
とろとろのスープ。
並。
水餃子、これも月並み。

2005/12/11
らーめん弁慶 門前仲町店(浅草にある弁慶の支店。麺は浅草開化楼。)
一階は立ち食いで二階に座席があるというのは、同じ背脂系の千駄ヶ谷ホープ軒と同じで興味深い。
らーめん 650円
小口葱、多め。大量の茹でモヤシ。
メンマ、甘くなく良し
茹で豚、薄くて大判、バラ肉を巻いたような。
背脂。
太麺、もぐもぐ食えて美味い。
薄い醤油味。
テーブルの上の豆板醤とニンニクを入れた。
この店もうまい。背脂系もよろしい。

2005/12/12
新橋三丁目・麺屋黒船(「ちゃぶ屋」店主森住氏プロデュース)
醤油麺 600円
浅葱。
しゃきしゃきモヤシ、よく合っている。
香りの良い海苔。
背脂少し、効果はあまりない。
焦がし玉葱多め。揚げ葱の香りがしない。
チャーシュー一枚。
つるっとした中太麺は品のよい味。
醤油味のスープは少し塩気を強く感じる。
良く考えて色々な要素を取り入れているのだろうが、インパクトは弱い。


東京のラーメン屋探訪記2006年

清水真哉のラーメン

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